本格焼酎(泡盛)の日
早いもので今年もあと2ヶ月である。
暑かった夏だったなと空を見上げたらすっかり空は秋空となり、
気候も肌寒いのが当たり前になっていた。

@日置 小正醸造にて
今日は本格焼酎の日。
新聞各紙、大きく焼酎広告がはいっているはずだ。
広告をみて「そうだ、焼酎を呑もう!」と思った酒呑みも多いはず。
自分も自宅の寒さに
酒棚を眺め、台所のガスコンロの上で湯を沸かそうかとウロウロしている。(まだ朝だ!)
九州の焼酎造り(芋)はそろそろ終盤の時期である。
ちょうど1年前、酒ナフキンとして鹿児島&熊本にお邪魔した。
焼酎の造り(芋&麦)をじっくりと拝見したのは数年ぶりだったので、
新鮮かつ再勉強であった。
原料となる芋の善し悪しを瞬時に見極めるのは人の目、人の手、人の勘。
どんなにオートメーション化されようともこの部分だけはアナログでなくてはいい焼酎はできない。
そのスピードの早いこと早いこと。
瞬き1回する間に原料となる芋は十数個、大きさを圴一にカットされながら仕分けされていく。
水を使う場でもあり、作業は過酷な場だ。
さぞや大変だろうと後で聞いてみると
「うん?慣れ慣れちゃうからね。生活のリズムと一緒」と頼もしい声が返って来た。
もちろん腰や肩のコリはあるだろう。それでも作業中、皆さん笑顔で、宝物を探す子供のように
笑顔で芋を手にとっていた。

@日置 小正醸造にて
オートメーション化されている蔵内で人が常駐している場所がもう一カ所ある。
完成した焼酎すべての瓶の浮遊物の見極めをする検品場だ。
1本1本、照明をあて、瓶や中身に異常がないか隅々までみている。
「あの作業はものすごく目が疲れるんですよ」といわれるとおり、根気と集中力が一番大事な場所である。そのため、この場の作業時間だけは細かく区切り、交代人数も多いそうだ。
あの場所でチェッククリアーされたものだけが箱詰めされ、
物流にのり、酒呑みの手元に届くのである。

@日置 小正醸造 師魂蔵にて 木樽蒸留機
オートメーション化であっても人の手、人の目、人の勘は大事である。
その人の第六感および、手法で醸す場も数多くの蔵に存在する。
日置の小正醸造の師魂蔵は平成11年に日置蒸留蔵の敷地内に建設された。
すべて手造り、極少量仕込みという小さな蔵。
隣にあるオートメーション化の蔵の後、訪れるとまるでタイムスリップしたような感覚になる。
全工程すべて手造りに徹し、杜氏・薗田一幸氏の指導の元、
原料の見分け方、天候の予測、気温の変化、微生物の動きを予知。
その働きや酒質など、蔵人に昔ながらの焼酎造りを体感させる場でもあるそうだ。
そのためオートメーション化の蔵ではなかなか感じることができなかった‘醪’の動きを
実際に目の前で見ることもできる。
ぶくぶくと元気よく泡を吹き出す甕もあれば、ふつふつとおとなしくおさまりつつ子もある。
耳をすませば、まるで醪同士が会話しているようで
「もうちょっと騒いでもいいかな?」という声があがれば
「うちはそろそろいい塩梅よん」という声も聞こえてきそうだ。
「甕によって性格が異なる。人と同じ。ご機嫌ななめの子があると蔵人が様子伺いに付き添います」とこっそり教えてくれたのは、案内をしてくださった蔵の小番頭こと中村さん。
それがまた面白いのだともおっしゃった。
人の助けを借りて、一人前になっていく焼酎達。
焼酎とはまっこと人生によく似ている。

@日置 小正醸造 師魂蔵にて 木樽蒸留機にて蒸留後の原酒
甕つぼ仕込みの後、木樽蒸留機で蒸留。
しっかり蒸留され、壷にたまる原酒は香り漂うというより、とにかく濃い。
原酒独特の強烈パンチの成分が鼻奥をつく。嗅ぎすぎるとノックダウンしそうな強さである。
木樽蒸留機の蒸留は末垂れをカットされ、
旨味、美味しさ、香りの華やかさのベストポジションをとりだしている。
そして蔵の地下にある甕にて貯蔵熟成されるのだ。
このように自分たちの目の前にやってくるまでに数々の人の手を経てつくりだされる‘本格焼酎’。
どの銘柄もどの素材の子も皆「美味しいんだよ」と胸をはって各蔵からやってくる。
今宵の一杯はそんな子達の声を聞くべく、本格焼酎(泡盛)を手にとってみようではないか。
ロックでもストレートでもお湯割りでもいい。
超短い前割りをつくって、直燗にしてみるのもいいだろう。

@Bタコ
どんな呑み方でも、間違いなく「美味いんだから呑んでみて」と胸をはっている子ばかりである。

@日置 小正醸造

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