ゴン麹 酔いどれ散歩千鳥足 <野望と無謀>

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初夏の風物詩  夜光杯でシュワッと黒糖

中国、ウルムチから敦煌の地域を旅したことがある。
莫高窟に向かうために。

西遊記で有名な鳴沙山を眺めたとき、
ふと、この詩が浮かんだ。

葡萄美酒夜光杯 欲飲琵琶馬上催  酔臥沙場君莫笑 古来征戦幾人回 。
(葡萄の美酒 夜光の杯 飲んと欲すれば 琵琶馬上にうながす
  酔うて沙上に臥す 君 笑うことなかれ 古来 征戦 幾人か かえる )

周囲は砂漠が広がっている。
日本と比べたら不毛地帯といってもいいだろう。
でもそこに住んでいる人は山から流れてくる雪解け水の水脈を上手に利用して
果実や作物を育てていた。

目をひいたのは葡萄だ。
詩にもあるようにこの地は葡萄酒の産地でもある。

古より旅人の喉を潤わしてきていたのだろう。
現地で深緑の盃でワインを飲んだ。
夜光杯だと店主は教えてくれた。
深い瑠璃色の石の盃。石でありながら、薄く削られ、力をいれるとパリンと割れそうな華奢さ。
厚みが薄いぶん、飲んでいるワインの滑らかさが盃からしっかりと唇に伝わる。

初夏の風物詩  夜光杯でシュワッと黒糖_c0059278_1494623.jpg


夜光杯は中国甘粛省酒泉の特産の一つ。
玉から作られる。
東方朔の『海内十洲記』、「鳳麟洲」にも記載されており、
西周の時代に既に中国の政権への献上品であったこともわかっている。
本当に薄く、脆いため、運ぶときによく割れていたそうだ。
今は薄い杯を保護するものはたくさんあるし、道々を歩む険しい道のりを通らず、空輸できるので、
中国外へ持ち出すことも簡単にできるようになった。

敦煌の地で夜光杯をみたとき、あまりの美しさにみとれてしまい、
ついつい、手にいれようと現地の玉の店を探して、手にいれたのが、うちにある夜光杯である。

なかなか使うことがないが、春から夏のこの時期になると
自然と手が伸びる。

夜光杯の玉は時代によって生産地が異なる。
そして色も墨玉、碧玉、黄玉に分類され
夜光杯の紋様は全て自然のもの。
墨玉の墨黒は漆のような迫力があり、
碧玉の碧緑は鮮やかな翠のような美しさをもち、
黄玉は白くなり、まるで羊毛や摘みたての綿毛のような白さが特徴的だ。

うちにある夜光杯は碧色。
黒っぽい模様はまるで鍾乳洞の中のような迫力があり、向こうが透けてみえる薄さは故郷の海のような色合い。
薄くて、爪でツンツンしても、プラスチックのような音がするが、きちんと玉。
高温や低温に耐え、
熱い湯や酒を注いでも、キンキンに冷えた水や氷をいれても割れることはない。
(落としたり、ぶつけたりしないかぎり)

今の時期、この夜光杯で飲むのは黒糖焼酎の炭酸割りだ。
今回は奄美大島の奄美開運酒造の“れんと”。
“れんと”とは音楽記号でゆるやかにという意味をもつ。
蔵の貯蔵場所では、黒糖焼酎にクラシックを聴かせているのは有名だ。

女性ファンも多い“れんと”。
久しぶりに飲むけど、飲みやすい。
炭酸割りにするとさらにくぃっといける。
黒糖の塊を齧りながら、黒糖の炭酸割り。
夏に向けて暑くなる季節……涼を感じるために
夜光杯で黒糖焼酎という時間が続きそうだ。

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by gon1442 | 2014-05-23 14:12 | 酒:酒器

酒呑み&放浪虫一匹がおいしいの酒を飲むために東西南北奔走。フリーランスのライターでありその正体は……ただの呑み助&食いしん坊な一匹麹。焼酎ストーリーテーラーになるべく今年は学びの年。島々にも出現いたします♪


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