山中與幽人対酌&月下独酌……。そんな空間は居心地よし
両人対酌山花開
一杯一杯復一杯
我酔欲眠郷去
明朝有意抱琴来
詩仙といわれた李白の『山中與幽人対酌』。
唐の時代に活躍した後も後生の文化人に多くの影響を与えてきた人であり
酒を愛し、酒友を愛し、酒と共に暮らした大先輩でもある。
ある意味、アル酎だっただろうと想像するが、
それ以上にすばらしい詩をいくつも残しており
ある意味憧れる存在だ。
酒の詩は数多くあるが、一番好きなのが『月下独酌』。
花間一壼酒
獨酌無相親
舉杯邀明月
對影成三人
月既不解飮
影徒隨我身
暫伴月將影
行樂須及春
我歌月徘徊
我舞影零亂
醒時同交歡
醉後各分散
永結無情遊
相期遥雲漢
これを中国語で語るとこうなる。
@ひとりよがりの漢詩紀行より借用
そんな李白の世界を感じさせてくれる場所が京都にある。
京都北区にある今宵堂さん。京都鴨川のほとりにある酒器店さんだ。
町屋のたたずまいの外観はもとより
店内にはいると玄関にまず釜。
工房兼ギャラリーには心奪われる作品がところ狭しと並ぶ。
出迎えてくれたのはご主人の上原連さん。工房は連さんと梨恵さんのご夫婦の二人三脚の世界だ。
「形にこだわらず、普段暮らしの一つの形をいろいろなもので作るようにしているんです」と話してくれる。
ひとつひとつ手作り。同じようにみえて形が少しずつ違う。色合いも違う。
遊び心あふれる暮らしの器。
彩り鮮やかで、見ているだけでワクワクしてくる。
この子がいいかな。
あの子がいいかな。
ひとめぼれしそうな子がいっぱいの世界。
こういう悩みならいくらあってもつらくない。
「うちの器で飲んでいってください」
テーブルに用意してくれたのが今宵道さんの酒器に注がれたお酒とアテ。
おいしいアテと酒。そして酒人が集った世界。
そこに李白の世界があった。
初めて訪れたのに居心地のいい。
酒器ひとつひとつが
まるで語りかけてくるようだ。
続き間になっている部屋の奥には縁側があり、
陽が暮れた様子を教えてくれる。
「この縁側で呑みたいでしょう」
心を見透かされたようだ。
どうやら、ここを訪れた人、皆、この縁側がお気に入りになるらしい。
「花間 一壷の酒 独酌 相親しむ無し 杯を挙げて 明月を邀むかえ 影に対して 三人を成す」
『月下独酌』を思わずつぶやいてしまった……。
そろそろ晩秋。
あの庭も秋模様に変化しているのだろうか。
縁側に腰掛けて月を眺めて、連さん&梨恵さんがつくった盃をもち
秋の夜長を過ごしてみたい……。
あの子にも会いにいきたいし、新しい子にも出会いたい。
その子でくぴぃっと……
やはり、李白の気持ちはよくわかる。
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↑新しく登録中です。こちらもぽちっとよろしくお願いします。by gon麹
店名:酒器 今宵堂
住所:京都市北区小山上内河原町52-5
電話: 075-493-7651
営業:11:00 ~ 19:00(土日祝)
URL:http://www.koyoido.com/