ゴン麹 酔いどれ散歩千鳥足 <野望と無謀>

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隠しラベルに酔いも深まる

「今日のオススメは『純米吟醸原酒 渓』です」
市ヶ谷 まるよしにでかけたとき、薦められた1本は
夏を感じさせる爽やかさのある透明な一升瓶。

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島根県東出雲町 王祿酒造。
蔵のある揖屋町はその昔、意宇郡揖屋村と呼ばれ、神様の地として、人々にあがめ奉られていた。
そんな地で酒を醸し出したのが130余年。
今では島根出雲を代表する銘酒として、日本酒好きをうならせているお蔵である。

蔵元の石原丈径氏は、当初、別畑の世界で就職をされていたそうだ。
が、そこは神様のおわす土地。
神酒をつくることを許された人間をそう簡単に手放すはずもなく、なんだかんだで蔵を継ぐことに。
それまでの仕事が異業種であったため、まずは酒の流通を勉強するため、
2年間、酒問屋で修行し、その後、蔵に戻られたという。
一言で蔵を継ぐといっても、そら簡単に……というわけにはいかない。
いくつもの困難や、越えられないと感じたほどの苦労を重ねながら今の蔵の酒の味を造りだしてきた。
蔵のお酒で、それまでと一番変わったというと絞り酒の味どのように変化をするかという見極めだったという。
ー5℃以下の大型船舶用コンテナを導入し、どんな変化も見逃せない品質管理を徹底していった。

「1に麹、2に酛、3に造り」と言われるように
石原氏は酵母の大切な栄養素になる麹造りの麹師をを担当しつつ、全体を見守る製造責任者。
かつて異業種であったとは微塵も感じさせない雰囲気で、お酒を語るときの顔はほがらかであるもの、造りのときは甘えを許さない鬼にもなるとか。
「お酒を造ることは生命を生み出すことと同じですから」というその心は
まさに神の地で造りを許されるべき酒人の資質(酒質……)だろう。

そんな蔵でつくられた『純米吟醸原酒 渓』。

ラベルには書かれた毛書体の『渓』の字と、太い丸。

『山女魚を釣る 風景を釣る』と
夏の山の爽やかさに思いを馳せてしまいそうなそんなコピーが添えられている。

この『純米吟醸原酒 渓』。王録の他の酒よりも口当たりが爽やか。
フレッシュに軽やかで夏酒らしい造りだ。

味もさりながら、面白いのはこのラベル。
実は表ラベルの後ろに蔵の遊びがあり、透明な瓶を裏側から眺めていると
おいしそうな山女魚が一匹。楽しそうに一升瓶のなかで泳いでいる。
それはまるで澄んだ渓流に涼しく泳ぐ山女魚で、
そんな様子を眺めていると、まるで本当に渓流の裾で
静かに一献飲んでいる気も……。

蔵の遊び、隠しラベルに酔いも一段と深まってくる。

上品な上立ち香を楽しみながらまた一口いただくと、
艶やかな丸い旨味がころころと舞う風のように口のなかで吹きだす。
香りも強すぎることなく弱すぎることもなく、舌先を軽くノック。
静かに落ち着く酒。
出雲の神々もこんなお酒を嗜んでいるのかと思うと、なんともうらやましいかぎり。
ほのかに酸味と渋みもあるもの、口当たりの軽やかさが、また一口一口とすすめてくれ
言葉はいらない味わいだ。

蔵元の石原家の屋号は「麹屋」。
元々秋に小作人が納入する収納米を有効に使うべく麹作りを始めたのが酒造りに携わるきっかけになった。「王祿」という酒名は3代目の平太郎氏によって命名。
古来中国で酒を“天の美禄”と呼んでおり、その美禄の中でも王者の風格を持つ酒でありたいという願いが込められているそうだ。

“天の美禄”。まさにそのとおりの味わい。
仕込み水には「中国山脈からの自然湧水を使用。
この湧水は別称「黄金井戸」とも呼ばれているほどの銘水で、
100年前の雨水を地下の凝灰岩層の地層が濾過し、純度の高い水質なのである。
まさに神様から認められた地ならではの酒。
日本中の日本酒ファンがうなずくのもよくわかる。

梅雨前の一夜。
そんな酔き酒に出会えたことは酒呑み冥利に尽きた宴となったのは間違いない。



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撮影協力:市ヶ谷 まるよし
by gon1442 | 2010-06-06 08:39 | 日本:日本酒 | Comments(0)

酒呑み&放浪虫一匹が世界中の酒を飲むために東西南北奔走する。フリーライターという職業といいながら、その正体は……ただの呑み助&食いしん坊な一匹麹


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